IE9 プレビューはまるでハイスペックマシンでWebkitによるレンダリングをしているかのような軽快さでした。
まず、IE9 の注目すべきポイントは以下の4つです。
- HTML5, CSS3, SVG など最新の Web 標準への対応
- マルチコア CPU によるJavascript コンパイル
- GPU を使用した高速なグラフィックレンダリング
- IE9 Platform Preview のダウンロード開始
HTML5 など最新の Web 標準へ対応
いつIEは最新のWeb標準に対応するのかと待ちわびていた人たちも多いと思います。IE9ではそれが現実となるようです。Microsoft が発表したデータでは SVG 1.1 2nd edition のテスト項目をすべてパスしています。CSS3 DOM 関連に関しても同様です。Web 開発者はこれから本格的に次世代HTMLによるコーディングに取り掛かることができることになります。
DOM や CSS3 に関してはブラウザ間の非互換性をなくすため100を超えるテストケースを用意し W3C に提供したと発表しました。これは IE8 の時も同様に CSS2.1 のテストケースを W3C に提供していました。
Acid 3 テストは 前回の30点代から55点にアップしています。今後のアップデートではデベロッパーがよく使うマークアップを重視し、さらに点数が上がっていくだろうと述べています。
マルチコア CPU による Javascript コンパイル
Javascript エンジンにもかなりの改良が施され、以前 Microsoft が言及していた「競合他社のように Javascript エンジンに分かりやすい名称が与えたほうがよい」という言葉通りにその名を「Chakra(チャクラ)」と呼んでいます。インタプリタではなくコンパイル方式になっているようで、これによりスクリプトの実行速度が何十倍にも跳ね上がります。
Javascript のコンパイルをバックグラウンドでマルチコアCPUで行うためここまで高速化したということです。スコアは Firefox を超えて、Safari, Chrome に次ぐ速度となっています。
GPU を使用した高速なグラフィックレンダリング
ネイティブで SVG 対応、ビデオ再生に対応となると現状のままでは CPU 負荷がかかり動作が重くなってしまうという欠点がありました。そこでハードウェアによるレンダリングを行うことにより動作を圧倒的に速くするということが可能になったのです。
IE9 とその他 Web ブラウザのアニメーションの滑らかさの差は圧倒的で Chrome すらも足元の及ばない状況です。
IE9 Platform Preview のダウンロード開始
Microsoft では IE の開発状況を知ってもらうために8週間ごとにアップデートを行います。現状ではあくまでも開発版であるために普通のWebブラウザと同じように使うのは難しいですが、ベータ版リリースまでの間にどんな機能強化が行われていくのか確かめるのに役立ちます。
IE8 で気になったレンダリング時のチラつきが改善されている
たとえば、DOMを使用して幅、縦100%で半透明のdivボックスをonclickイベントに合わせて表示したとします。IE7以外、つまりIE6とIE8では半透明のボックスが出るまでに一瞬のチラつきが必ず出ますが、IE9ではチラつきはなく一瞬で半透明のボックスが表示されるようになっています。
標準準拠とは別の、人に与える印象の面でも品質が改善されてきているというのはとても良いことだと思います。
IE9 その他対応済みリスト
- application/xhtml+xml MIMEタイプに対応
- application/javascript MIMEタイプに対応
- application/ecmascript MIMEタイプに対応
- CSS3 opacity プロパティに対応
不具合
開発中の Web ブラウザであるため不具合は当然ありますが、確認したものをまとめます。
- 多くの Web ページで文字化けする(IE7モードにすると正しく表示される場合がある)。
- Silverlight や VML のアニメーションは IE8 より遅い場合がある